PLAUBEL makina67

2006/07/13

35mm一眼レフだけで写真を撮っていた頃はフィルムサイズに不満はありませんでした。
しかし、ある時。
祖父が持っている四畳半(6*6)カメラを貸してもらい、撮影する事が出来ました。
コニフレックスと言うクラシックな2眼カメラで撮った写真は解像度が高く、鮮明で吸込まれるように美しい画像でした。
こんな古いカメラでこんな綺麗な写真が撮れるなんて・・・。
この画像を見た私は俄然中判カメラが欲しくなりました。
しかし、中判カメラは35mmカメラに比べて桁違いに高額でなかなか手に入れる事は出来ません。
私は6*6(正方形)の画面は好きではないので6*7のカメラを考えていました。
となると当時メジャーなカメラと言えばペンタックス67かマミヤ67くらいしか思い浮かびませんでした。
どちらもシステムで揃えると高価過ぎてとても手が出ませんでした。

そんな頃、カメラのドイがマキナ67と言う中判カメラを発表しました。
他の6*7カメラに比べて非常に安かったのを憶えています。
また、レンズを収納するとコンパクトでフィールドカメラにピッタリでした。
発売当初、評判は芳しくなく「カメラのドイが作ったカメラなんかちゃんと写るのか?」と言った先入観による批判が非常に多かった記憶があります。
福岡ではカメラのドイと言えばカメラ販売店のイメージが強く、販売店がカメラを造るという発想に違和感を持っていたようです。

私はたまたま現物を触る機会に恵まれてレンズはニッコール(ニコン)である事、コンパクトで持ちやすい事、ドイツのプラウベルが製造している事(と思っていた)等を知り、レンズ交換は出来ないけれど、これなら使えそうだと購入を決心しました。

後に知ったのですが、プラウベルと言うドイツの会社をカメラのドイが買収したのは事実ですが、その時既にプラウベルはまともなカメラを製作する能力は無かったようで、プラウベルと言う名前だけを使用してすべて国内で製造していたようです。
こんなユニークなカメラが国内で製造されていたとは意外でした。

私がマキナ67を購入したと言うと、多くのカメラ好きの友人たちは「安いからねぇ。」と小馬鹿にしました。
しかし、実際に撮影してみると私自身びっくりするほど写りが良く、友人たちも驚いていました。
画質はレンズで決まるので、良くて当り前なのでしょうが全体としてバランスの良いカメラで、35mm感覚で気軽に持ち歩けました。

デジタルカメラが幅を効かせている昨今、フィルムカメラで撮影する機会がめっきり減りました。
しかし、何時でも写せるようにメンテナンスだけはしっかりしておこうと思っています。
そして今回、不具合があれば修理するつもりでテストショットを実施しました。

昭和55(1980)年1月7日に購入した初めての中判カメラがマキナ67でした。
と言っても中判カメラは後にも先にもこれ1台だけですが。
しばらく使用していなかったので、チェックがてら近くの公園で撮影してみました。
中判カメラの中では格安でしたが、それでも簡単に買える値段ではありません。
その上、値引無しの定価販売でした。
値引しない代わりに、レンズ保護フィルターやフード・レザーケースをサービスしてもらいました。
高画質の根拠となっているニッコールレンズ。
購入当時、レンズと言えばニッコールと言う信奉者が多かったですね。
80mm/F2.8、35mm換算で約40mm位でしょうか。
標準と広角の中間くらいのレンズで、狭い部屋で撮るには画角が狭かったですね。
そういう要望が多かったのか、この後広角のレンズを付けたものも発売されました。
個人的には歪も少なく自然に撮れるこのレンズが好きです。
純正のフィルター。
これはマルチコーティングしてある無色のレンズ保護フィルターです。
純正のフード。
アルミ製の高品位なフードですが、かなり大きいので普段は折り畳みできるゴム製を使用しています。
裏蓋を開けたところ。
蛇腹をたたんだ状態です。
右側にプラスチックのスプール(巻取軸)があり、これに紙テープ(裏紙)を巻きつけます。
レバーハンドルの下にある小さなボタンが露出計のスイッチで、押している時だけ露出計が作動します。
中央重点測光に近く、かなり正確です。
120(ブローニー)フィルムは裏紙の中に挟み込まれていて、この裏紙を巻く事によってフィルムも一緒に巻き取られます。
何回か巻くとスタート位置が現われるので、このスタート位置とカメラの矢印を合わせます。
この状態で裏蓋を閉じると、巻き上げレバーに合わせて枚数カウンターが動作するようになります。
蓋を閉じただけではフィルムが来ていないので撮影できません。
ブローニーフィルムは35mmフィルムの様に金属ケースに入っていないので、フィルムが感光しないように紙テープが多めに巻かれていてスタート位置に合わせた状態ではフィルム自体はまだリールの中にあります。
蓋を閉じて何回か巻き上げるとカウンターが1になり、フィルムが撮影可能位置まで出て来ます。
これで撮影できる状態になりました。
蛇腹を横から見たところ。
購入当初はテカテカではなく、革の様な艶だったのですが使っているうちに光漏れが発生して修理に出したらテカテカのコーティングを施されていました。
発売された初期に購入したので、まだ品質が安定していなかったようです。
ビューファインダーにも茶色の曇りが発生して修理に出しました。
今装填したフィルムはフジカラーのリアラですね。
紙箱の蓋をちぎって差し込むところが横にあります。
X接点が非常に使い辛い位置にありました。
上面中央にあるストロボフォルダ。
光軸の中心にあるので、影が発生しにくく便利なのですがホットシューに対応していないので、いちいちケーブルをX接点に接続しなくてはいけません。
更に不便なのは、そのX接点がシャッター部にあり、ケーブルを繋いでいる時は蛇腹がたためないのです。
そこで、自分でホットシュー対応に改造する事にしました。
中央の丸い接点がそれです。
中央少し上にちらりと見えるコードがX接点からストロボフォルダの接点に繋がっているコードです。
分解しづらく苦労しました。
巻き上げレバーとシャッターボタンのアップ。
シャッターボタンを囲んでいるリングがピントリングです。
これを回すと蛇腹全体が前後してピントを合わせます。
ピント合わせは二重像合致式で、昔のコンパクトカメラ等に使われていた方式です。
精度はかなり高い方だと思います。
レンズを回してピントを合わせる方式だと、被写体を狙った状態で片手でピント・シャッター速度・絞りを同時に調節しなければならないのですが、ピントリングが巻き上げレバーの所にあるので右手でピントを合わせつつ、シャッター速度や絞りは左手で合わせる事ができたので速写もしやすくなっています。
テストショットのために三脚に取り付けている状態です。
これは距離計のチェックをしている所です。
棚板の交差したところにピントを合わせて、実際の撮影結果がどの程度前後にずれているかを見ます。
このテストではピントのズレはありませんでした。
一番気になっていたピントズレと光漏れが無かったので一安心。
6*7の場合は撮影枚数が10枚です。
ブローニーフィルムは6*4.5・6*6・6*7・6*9等1本のフィルムで色々なサイズのカメラがあるので、それぞれ撮影枚数が変わります。
撮影が終わるとフィルムを巻き戻すのではなく、巻進めて右側のスプールに巻き取ってしまいます。
巻き取ったらスプールごと取り外して付属の粘着テープで固定します。
この状態で現像所に持って行くわけです。
現像から上がって来たポジをチェック中。
ピントも露出も問題なし。
綺麗に撮れています。
ルーペを使ってポジの接写。
吸込まれるように美しい。
これはデジカメのレンズの前にルーペを押し当てているだけなのですが、けっこう本格的な接写が出来ます。
小さな物をデジカメで撮影する時によく使う方法です。