真空管アンプ
6BM8 P.Pステレオパワーアンプ

2001/08

私は昔から真空管に得も言われぬ魅力を感じていました。
まだ幼児の頃、電器屋さんがテレビの修理にやって来てテレビの裏板をはずすと、沢山の真空管が並んでいました。
なんだか凄いものを見たような気がしました。
それ以来、真空管自体が好きになり、ガラス管の中のパーツを見ていると半透明の生物かプランクトンを顕微鏡で見ているような気になり、ポッと光るヒーターの灯りが何かしら生命を感じて音を出す生き物の様に思えました。
中学生の時、五球スーパーと言うラジオのキットを組み立ててから真空管を使った器機の製作に興味を持ちはじめました。
キットですから、基本的にハンダ付けが出来れば完成するのですが、真空管の特色である高電圧には困りました。
電源を入れた状態でのチェックでは、触る場所を間違えると「ビリッ」と高電圧の洗礼を受けます。
また、配線を間違えると電源を入れた途端に抵抗から煙が出たり、バチッと言う不気味な音がしてコンデンサーが破裂したりします。
ですから、電源を入れる前に何回もチェックして神に祈るような気持ちでスイッチを入れたものです。
この緊張感が癖になったわけではありませんが、真空管アンプの製作は私の趣味の一つになりました。

1976年製作・1992年3月全面変更

1976年に製作した時は基本的な知識や技術に乏しく、回路も雑誌からのデッドコピーでした。
何とか動作したのですが、音質的に納得できずノイズレベルも高いので、そのうち使わなくなりお蔵入りになってしまいました。
考えてみると製作ノウハウも無く、ただ雑誌の通りに配線しただけでしたから、良い音が出るはずも無く音が出ただけでも大成功でした。

1992年になって、もう一度チャレンジしてみようと思い立ち、オーソドックスでも良質な回路に変更しました。
測定機と言えばテスターしかなく、カットアンドトライと試聴の繰り返して少しずつ追い込んで行きました。
結局、真空管とトランス以外、すべて取り替えることになりましたが良い結果が得られたと思っています。
6BM8は出力管としてはポピュラーな球で、4本でプッシュプルステレオパワーアンプが造れます。

真空管 6BM8(3極5極複合管)×4本
トランス 電源トランス タンゴST−220・出力トランス タンゴCRD−5・チョークコイル タンゴC−520
シャーシ 鈴蘭堂アルミシャーシ SL−10HGシャンパンゴールド
自作アンプとスピーカー 管球式プリとパワーのセット。
ケンウッドのチューナーと今は亡きFE88ESのミニバスレフでFM放送を聴いていました。
聴き疲れのしない良い音でした。
最初に製作した真空管アンプは6BM8と言う3極5極複合管のプッシュプルパワーアンプでした。
写真とは違って、一回り小さいアルミシャーシに組んだのですが、基本的な製作ノウハウを知らず、音は出ますが悲惨な音質でした。
結局、倉庫の隅に置き去りにされてしまいました。
久しぶりに倉庫の片付けをしていて、このまま朽ち果てるのは可哀相になり、もう一度作り直してみる事にしました。
色々な文献を参考にしてオーソドックスで単純な回路としました。
また、部品は出来るだけ良質の物を使用し、部品による音質劣化を極力避けるようにしました。
何の変哲も無い回路でしたが造りと部品に拘わったせいかバランスの良い音に仕上がりました。
6BM8プッシュプルにしては大きなシャーシですが、おかげでゆったりと組み上げることが出来ました。
シャーシ天板がシャンペンゴールドでなかなかゴージャスです。
アルミ板の厚さも2mmあり、丈夫に造られていますが、おかげでその分、穴開け加工は大変苦労しました。
しかし、音質にも良い影響を与えていると思います。
裏蓋を開けたところ。
シャーシが大きめなので、内部配線はずいぶん余裕があります。
加えて、電源以外のCRはプリント基盤に集中させたので益々簡潔になりました。
ケーブル類は全て無酸素銅線を使用しています。
出力トランスまわり。
スピーカーへの出力端子は8オーム固定にしています。
タンゴCRD−5は小出力管用で定格15Wです。
ポピュラーな出力トランスで、価格(当時1万円くらい)の割に高性能でした。
電源トランス、タンゴST−220。
6BM8には過剰ですが、電源を強力にする事で音質にも良い影響が出ていると思います。
真空管アンプには整流にも真空管を使った方が雰囲気は出ますが私はファーストリカバリーダイオードの全波整流の方が良い結果が出ていると思いました。
アッテネーターならびに真空管ソケットまわり。
配線がごちゃごちゃする場所に基盤を使用したので、すっきりとまとまりました。
ただ、空中配線よりもスペースが必要です。

12AX7フォノイコライザー付プリアンプ

1976年製作・1992年3月全面変更・1992年4月回路変更

6BM8PPに合うプリアンプが欲しくなり、製作したのが12AX7を使用した4球プリアンプです。
1976年に製作した時はピーピーガーガーブーブーと盛大にノイズが出て、どうしてもノイズが取れずにお蔵入りになってしまいました。
しかし、1992年に全面変更した6BM8PPパワーアンプの成功に気を良くしてプリアンプももう一度やり直そうと考えました。
1976年製作時にはイコライザーアンプ無しの3球ステレオプリアンプでしたが、イコライザーアンプ付の4球に変更しました。
結局、電源トランスとケース以外はすべて取り替えることになりました。

シンプルなフロントフェイス。
真空管プリアンプはこれが最初です。
何度も挫折して諦めかけましたが、何とか実用になるプリアンプが完成しました。
自作のパワーアンプは真空管のメリットが多いのですが、プリアンプはノイズや歪などを抑え込むのに大変苦労しました。
素直にキットを製作するか、プリアンプのみ半導体で製作した方が良いようです。
リアビュー。
入力はフォノ(MM)*1、ライン*2、テープ*1。
ボリューム・セレクターまわり。
このアンプもCRはプリント基盤に実装しました。
セレクターまわりのアップ。
ハイグレードなセレクターを使用したわりに長々と配線を回しています。
本来なら延長ロッドを使用して入出力端子の近くに持って行くべきでしょう。
12AX7(双三極管)を4本使用しています。
シールドケースに巻いているのは鉛テープ。
効果のほどは良く分りません。
シールドケースを外したところ。
電源まわり。
ヒーターは直流定電圧を使用しています。